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事例31. 後の事なんてどうでもいい!
半年後に定年退職を控えた担当者の言葉。
事例32. 1/1スケールのプラモデル制作の様!?
某製造工場の設備新設。
事例33. 亭主関白。
業者を集めた完成パーティーでの事。
事例34. 飲み代は割り勘。
某会社の担当者と一席設けた時の事。
事例35. 放射性物質に効果はある?
2011.3.11の地震・津波と福島原発事故後のお問い合わせ。
某企業の某担当者の言葉が印象的だったので強く記憶に残っています。
某財閥の系列企業が、とある乗り物の開発・製造・販売で総額1兆円を超えると言われた超大型プロジェクト(名前は伏せます)を進めていましたが、結局このプロジェクトは外国での認可取得の問題や納期の度重なる延期などの理由で中止となりました。
当社には代理店経由で排気対策「某工場の塗装工程で排出される塗装排気(有機溶剤・VOC)の処理問題」についてお問い合わせを頂きました。会社を訪問したら工場の中を案内されたので臭気発生現場やその周囲を見ると、某乗り物(完成品は1個当たり数十億!)のパーツや自衛隊向け(こちらも完成品は1台100億超え!)の製品など(詳細は伏せます)を製作していました。部外者が見学して良いのだろうか?とも思いましたが、ご相談の内容は部品の塗装臭気の脱臭であり機密事項には該当する事は無いらしく、「見てはいけない、近づいてはいけない、写真の撮影も禁止!」などと注意をされる事はありませんでした。
この会社の担当者が打ち合わせの最中に話した衝撃的な言葉をご紹介します。
お問合せを受けてから、現地訪問、製品の説明、そして脱臭実験&臭気測定をご提案(先の事例30でもご紹介しましたが、この時点で費用が掛かる事を嫌って先に進まない事が多いです)、そして現地に実験機を持ち込み「脱臭実験&臭気測定を実行!」してデータを確認、実験で得たデータを基礎として設計原案と御見積の提示、をしました。
この件では他社の燃焼式脱臭装置との競合になりましたので、セラミックス脱臭装置の特長(超寿命性能、低ランニングコスト)などの特長について改めて一通りご説明して、「初期費用が多少高くても”セラミックスは燃料代が不要!”なのでランニングコストが非常に低くなりますから、長い目で見ればセラミックス脱臭装置を採用すると大幅に経費が削減できます」と述べました。簡単に図で表すと下の表の様になります。
燃焼式及びセラミックス触媒、総費用比較(概略)
担当者は「どちらも初期費用はあまり変わらないね?」と発言していました。仮に、初期費用(設備導入費用)は燃焼式がセラミックス触媒の半額と仮定すると、
燃焼式:50
セラミックス触媒:100
「あまり変わらない」と言うからには両者の金額差はもっと小さいと考えられますが、解りやすくするために切りのいい数字として燃焼式はセラミックス触媒の半額と仮定しました。
設備導入後には稼働に伴う維持経費(燃料代、電気代、水道代、等々)も必要です。
燃焼式:100/年
セラミックス触媒:10/年
と仮定して表を作成しました。燃焼式は大量の燃料を消費するのに対して、セラミックスの維持経費は基本的に送風機の電気代だけなので「大量の燃料=コストを必要とする燃焼式」に比べると10でも高いと考えますが、切りのいい数字で仮に10とします。
初期費用は燃焼式の方が安い→初期費用で選べば燃焼式、維持経費は逆にセラミックス脱臭方式の方が安い→維持費用で選べばセラミックス、1勝1敗? 1長1短? どちらが良いか?どうすべきか?
初期費用+維持費用=「総費用」で判断しましょう!
グラフを見れば明らかな様に、設備導入から1年後経たずに燃焼式の総費用がセラミックス触媒を追い越します。逆に考えると、「セラミックス脱臭方式ならば1年以内に元が取れる!」という事になります。その後も両者の総費用の差は広がる一方!=セラミックス触媒の費用節約効果が年々増大する!
*(計算は解りやすさを優先して簡略化しています)。
10年使用後の初期費用+維持経費=総費用は、
燃焼式:1.050=初期費用50 + 維持経費1,000(=100/年×10年)
セラミックス触媒:200=初期費用100 + 維持経費100(=10/年×10年)
と圧倒的な差になります。
セラミックス触媒は長寿命で燃料も不要であり維持経費が安くなるのですが、燃焼式も同様と勘違いしていたのでしょうか?さすがにそれは無いでしょう。
セラミックスの能力が低く追加や交換が必要になると考えたのでしょうか? 事前に脱臭実験&臭気測定を行い脱臭効果も確認し、そのデータを基礎として設備設計&御見積をしているのでまず問題は無いと思えるのですが?担当者の回答は「初期費用が高いのが気になる」、と言う物でした。
(以前は「初期費用はあまり変わらないね?」と言っていたのに?) 「初期費用に大きな差はありませんし、燃焼式は稼働を開始すると燃料を消費します。燃焼式は燃料代≒維持費用が高くなるのですぐに総費用はセラミックスよりも高くなる=セラミックスの方が割安!になりますよ、導入後の維持経費や総費用の高さは気にならないのですか?」と述べると、担当者の返答は、
「私は半年後に定年退職するんだ、だから、
辞めた後の事なんてどうでもいい! 関係ない!」
というものでした。
財閥系の企業で定年まで勤める人でもこんなものなのか? 財閥でも社員からは愛社精神が失われてしまったようです。目先の安さで判断して後にツケを回すようなやり方は如何なものか?「立つ鳥跡を濁さず」ではなく「後ろ足で砂をかける」ような事を平然と行うとは・・・。
この件に限らず中期・長期的な視野を欠いて短期的な損得で判断する、目先の利益に飛び付いて後に高いツケを支払う、という人や会社を少なからず見てきました。特に環境対策の様な利益に直結しない分野ではそのような事例が多いと言わざるを得ません。しかし、ここまできっぱりと、はっきりと、断言した人は他に知りません。まもなく退社・引退する人に長期的な視点での判断や責任感を求める事は難しいという事でしょうか?
似たような例が「事例17、俺に〇億よこせ!」でもありました。
今ここを読んでいる経営者の貴方、もしかするとあなたの会社でも似たような事例がある?かもしれません。重要事を判断する時の参考になれば幸いです。