環境対策(排気対策・排水対策)においても他の問題と同様に最も重要な問題で最も関心の高いと思われる”費用”と”採算”について例を挙げてご説明します。
排気対策(悪臭対策・脱臭対策)について、他の脱臭方式と比較して解説します。
設備導入と脱臭方式の選定に際して、”非常に重要な要素”を考慮せずに決定する事例が近年増えています! この要素を見落としたならば判断を誤り後々多額の損失が発生する事になります。
*以下に記載する数値は”一例”であり条件次第で変動します。
臭気対策に必要な費用を大別すると、以下の3つに分類できます。
「このくらい初歩だよ!」あなたはそのようにお考えかもしれません。
しかし、初歩的な常識を見落としてしまう・忘れてしまう、そのような例が近年増加しており、稀にですが意図的に無視する!例すらあります。
あなたが設備を選択する責任者だと仮定してお考え下さい。 条件1:セラミックス脱臭方式と他の脱臭方式は脱臭能力が同等。 条件2:セラミックスの”費用”は下の表1の様に他の脱臭方式の2~3倍。 この条件で比較したらセラミックス脱臭方式を採用して下さるでしょうか?
脱臭方式 | セラミックス | スクラバー | 吸着or燃焼 |
---|---|---|---|
費用 | 5 | 3 | 2 |
「 同じ性能なら安い方が良い! 最後は値段で決める! 高いセラミックスを選択する理由はない!」と回答することでしょう。条件がこの2つだけならば私も同様に回答します。
しかし、この段階での判断は”情報不足”であり時期尚早です!非常に重要な要素を見落としているので 後々に大損害をもたらす可能性がある事に気付いているでしょうか?
前置きが長くなりましたが、”非常に重要な要素”とは”時間”です。
表1ではイニシャルコストではなく単に”費用”と表記して意図的にあなたをミスリードした事に既にお気づきでしょう。(見出しが「イニシャルコスト」なのですぐに気が付いたかもしれません)。表1の”費用”はイニシャルコストのみの比較であり、ランニングコスト&トータルコストは記載していません。
イニシャルコストは一定ですが、ランニングコストは稼働時間や使用年数により変動・増減します。同様にトータルコストもランニングコスト次第で変化します。これらの要素についても十分に考慮しなければ判断を誤り、後々貴社に多額の損失をもたらすでしょう。
設備を稼働すれば資材を消耗するので交換・補充が必要となります。スクラバーならば水や薬剤を補充、燃焼式ならば燃料を補充、吸着式ならば吸着剤が飽和したら交換。これら消耗品の補充・交換に多額のランニングコストが必要となります。
次に、設備の維持経費=ランニングコストを考慮します。
脱臭方式毎に1年当たりのランニングコストを設定します。
脱臭方式 | セラミックス | スクラバー | 吸着or燃焼 |
---|---|---|---|
ランニングコスト/年 | 0.1 | 1 | 3 |
セラミックスは他の方式と比べてランニングコストが1/10~1/30と非常に低い! セラミックス”触媒”の特徴、「常温で反応するので燃料代が不要」、「脱臭・分解を繰り返す自己再生能力」、そして最大の特徴である「超寿命性能」が如実に表れています。
セラミックス脱臭装置で消耗するものは送風機の電気代程度です。(稼働条件により水スプレーの水道代や制御盤の電気代などが必要になる事もあります)
セラミックスの寿命は通常の使用ならば10年以上!なので、交換も10年に1回以下になります。
ランニングコストは圧倒的にセラミックスが低い!
費用と採算をイニシャルコストだけでは判断できない様に、ランニングコストだけで判断する事も不適切です。総合的に・長期的な視野に立ちイニシャルコスト+ランニングコスト=トータルコストで比較して判断する必要があります。
最終的な判断基準となるトータルコストを計算してみましょう。
イニシャルコストとランニングコストは表1&2の通りとします。
脱臭方式 | セラミックス | スクラバー | 吸着or燃焼 |
---|---|---|---|
イニシャルコスト | 5(大) | 3(中) | 2(小) |
ランニングコスト/年 | 0.1(極小) | 1(中) | 3(大) |
イニシャルコストが低いとランニングコストが大きくなる、逆にイニシャルコストが大きいとランニングコストが低くなる、このような相関関係があります。両方高いなら問題外! 逆に両方低ければ最高なのですが現実にそのような脱臭方式は無い。ならばイニシャルコストとランニングコストの両方を含めたトータルコストで判断すべき!
設備の使用年数によりトータルコストは変化します、表3のデータから使用年数毎のトータルコストを計算すると以下の様になります。
脱臭方式とトータルコストの変化を計算してグラフで示します。
緑色の棒 → セラミックス、オレンジ色の棒→スクラバー、茶色棒→燃焼or吸着
同じ条件で20年先まで計算しましたがグラフにすると小さくて見づらいので表にまとめます。
脱臭方式 | セラミックス | スクラバー | 吸着or燃焼 |
---|---|---|---|
1年使用 | 5.1 | 4 | 5 |
2年使用 | 5.2 | 5 | 8 |
3年使用 | 5.3 | 6 | 11 |
4年使用 | 5.4 | 7 | 14 |
5年使用 | 5.5 | 8 | 17 |
6年使用 | 5.6 | 9 | 20 |
8年使用 | 5.8 | 11 | 26 |
10年使用 | 6.0 | 13 | 32 |
12年使用 | 6.2 | 15 | 38 |
15年使用 | 6.5 | 18 | 47 |
20年使用 | 7.0 | 23 | 62 |
各脱臭方式の使用期間によるトータルコストの変化をまとめると・・・、
1年経過:イニシャルコストの高さによりトータルコストはセラミックスが最も高い。
2年経過:燃焼・吸着のトータルコストがセラミックスを超える。
3年経過:スクラバーのトータルコストもセラミックスを超える。 セラミックスのトータルコストが最も低くなる!
*当初は「ランニングコストなんて大した金額では無い!」、「その程度は必要経費と割り切れ!」と考えていても、稼働時間に比例して累積されるので無視できなくなる。ランニングコストは「直ちに影響を及ぼすものではない」けれども、後になって重大な影響を及ぼします(親の説教と冷酒は後で聞いてくるともいいます)。設備を更新する時に既存設備のトータルコストを計算して「こんなはずではなかった・・・」と後悔する事になるでしょうから、そうならないように設備の使用年数とトータルコストも考慮しましょう。
導入から2~3年でセラミックスの優位性がはっきりと表れます。更に使用を継続すると・・・。
5年経過:スクラバーはセラミックスの1.5倍、燃焼・吸着はセラミックスの3倍!
10年経過:スクラバーはセラミックスの2倍、燃焼・吸着ではなんと5倍!
*「導入時の初期費用よりも導入後のランニングコストの割合の方が大きい!」、「ランニングコストの低減が最重要課題」である事は明白!
10年以上セラミックスの使用を継続する例も少なからず存在しますが、10年経過時点でのトータルコストについて述べると、
セラミックスを採用しない:他の脱臭方式ではセラミックスの 2~5倍に支出が増大!
セラミックスを採用する :セラミックスを他の脱臭方式と比べると支出が1/2~1/5に低減!
*具体的に金額を計算してみましょう。
既出表の数字の1=1,000万円で計算すると表5の様になります
脱臭方式 | セラミックス | スクラバー | 吸着or燃焼 |
---|---|---|---|
イニシャルコスト | 5千万円(大) | 3千万円(中) | 2千万円(小) |
10年間のランニングコスト | 1千万円(極小) | 1億円(中) | 3億円(大) |
10年間のトータルコスト | 6千万円(小) | 1億3千万円(中) | 3憶2千万円(大) |
「セラミックスはイニシャルコストが高いから却下!とにかく安いものを選ぶ! 」そのような選択もあるでしょう。
その時点では良くてもその後10年間のランニングコストは燃焼or吸着で3億円! スクラバーでも1億円! それに対してセラミックスは僅か1,000万円。
10年間でのトータルコストは、セラミックス:6,000万円、スクラバー:1億3,000万円、燃焼or吸着:3億2千万円。 長期的にはセラミックスが最も低予算となる! 目先の安さを求めると後で高いツケを支払うことになります!
セラミックスとの差額は10年で7,000万円~2億6,000万円、1年平均で700~2,600万円、月平均で58~216万円となります。
セラミックスを採用すればこれだけの差額を節約できます! 逆にセラミックスを採用しなければこれだけの余計な支出が発生します!
*計算は一例です、条件により変動します。
**設備規模に比例してセラミックスの節約効果が大きくなります!
トータルコストは2年経過した時点で燃焼or吸着がセラミックスを超える、3年経過した時点でスクラバーもセラミックスを超える。その後は使用を継続する程にトータルコストの差が拡大する。
条件により変動しますが、通常は導入から2~3年でセラミックスのトータルコストが他の脱臭方式よりも安くなります。
3年以上の中期~長期の使用を想定するならばセラミックス脱臭方式が最善! 最適!
目先のイニシャルコストの低さにとらわれず、中期・長期的に考えることで最安にして最善の選択をする、安物買いの銭失いではなく良い物を長く使う事が最善の選択であると結論します!
具体的に貴社の場合はいくら節約できるでしょうか? まずはお問い合わせ下さい。
「法規制などに合わせて必要な時期に導入する事が最適」、模範解答ではありますがもう少し考えを掘り下げてみましょう。
臭気問題で近隣苦情が来た、役所から指導(指導後に改善されないと次は改善”命令”が来ます)された。そのような事があれば近い未来に法規制強化で規制対象とされて対策が必要となる、近隣住民が裁判を起こす、そのような事態も想定されます。
景気の良い時に、利益のある時に、その時点では直ちに必要でなくても環境対策・臭気対策を実行することをお勧めします。設備導入時の支出が多少割高でも税金対策になります! 導入後に景気が悪化して環境対策・臭気対策の予算が縮小されても、セラミックス脱臭方式はランニングコストが低いのでほとんど影響がありません。
通常は3年前後で他の脱臭方式よりもトータルコストが低くなるので早めに導入する事を、そして長期間使用する事をお勧めします。
ここまでご覧になって、「でも理想論でしょう? セラミックスは本当に10年使えるの?」そのような感想をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
当社のユーザーの中には自社で実験機を製作して現場で3年間(セラミックスが寿命が3年あれば他の方式よりもトータルコストが低くなる)脱臭実験を継続し、セラミックスの超寿命効果を確認した後に設備を導入した例もあります。
当社製の実験機を持ち込む事もできますし、ユーザー様で自作しても構いません。実験については以下のリンク先をご覧下さい。