脱臭実験の目的は「確実なデータに基づいた確実な臭気対策」の為に必要なデータを得る事に有ります。
一口に臭気と申しましても発生場所や作業内容によりその内容は異なります。臭気成分、濃度、成分の混合比率、排気温度、排気湿度、等々・・・。これらの条件の違いによりセラミックス脱臭装置での脱臭効果が変化します。
開示された臭気の測定データ等々から設備設計が出来ればよいのですが実際には複雑すぎて計算不可能です! また机上の計算が必ずしも正しいとは限りません。そもそも必要なデータが存在しない事もあります。ならば現場での実験と測定によりセラミックスの脱臭効果を確認する事が最も確実です。
机上の計算による推定ではなく、現地で脱臭の対象となる臭気を対象として実物のセラミックスを使用した実験と測定によって得た「確かなデータ」に基づいた計算・最適な設備設計による脱臭対策をご提案出来ます。
実験前に確認が必要な事柄は多々あります。順に記載してご説明いたします。
・実験機の選択。
積み下ろしに必要なフォークリフト・クレーン等の有無、運搬通路、設置場所、等の条件
から「一体型」又は「分割・組立型」を選択します。
詳しくは「移動式脱臭実験機と使用例」のページをご覧下さい。
・設置場所と必要事項の確認。
設置場所は屋内・屋外? 屋外なら雨対策が必要です。
送風機(ブロワー)の電源は? 周囲から確保する必要が有ります。
排出口からの距離は? 延長ダクトを使用して排出口から実験機まで誘引しますが距離が
長すぎると十分な排気を誘引できません。又、排出口が高所の場合はダクト設置作業に危険
が伴うので検討が必要です。
・予算の確認。
当然ですがお見積もりをご提示して、ご注文を頂いてから実験致します。詳しくはお問い
合わせ下さい。
・日時の確認。
実験を実施すると決まったら、日時を選択します。いつでも良いわけではなく実際に設備
が稼働して臭気を排出する時間帯に実験する必要が有ります。臭気のピーク(最も臭いが強
くなる時間帯)に実験する事が最善です。
実験の効果は臭気測定により確認します。臭気測定の詳細についても確認が必要です。
・臭気の測定方法を決定。
自治体の臭気規制がある時には規制方法と同じ測定方法(ppm濃度規制ならばppm濃度測
定、臭気指数規制ならば臭気指数測定)で測定します。
・臭気サンプル(測定する数)を決定。
最低でも実験機入口(脱臭処理前)と、実験機出口(脱臭処理後)の2つは必要です。
・臭気を測定する業者を選択。
必要な測定方法を対応して業者の中から、現場に近い業者を選びます。遠くの業者に依頼
するとサンプル輸送に時間がかかりますので、サンプル採取から測定までの間に臭気成分が
変化して不正確なデータとなる事が有ります。
・測定業者に相談。
出来る事ならば採取した当日に測定できる事が理想です。業者が近くに有れば出張採取し
て持ち帰り当日中の測定も可能です。又、自社で採取して業者に持ち込む事も可能です、事
前に連絡して測定に必要な準備をしてもらえば当日中の測定も可能になるでしょう。
年度末(2~3月)になると臭気測定の依頼が増える傾向が有りますので、当日中の測定が
出来ない、測定結果が出るまでに時間がかかる、という事もあります。事前に相談して確認
しましょう。
・サンプル採取の実行者を決定。
自社で行う、当社で行う、業者に依頼する、という選択が有ります。
近場の業者ならば現場まで出張採取してくれる事もあります。
「採取は自社で行いたいが経験がない、道具がない、使い方がわからない。」と言う時に
は採取に必要な道具や使用方法について指導いたします。
脱臭実験には様々なものが必要になります、当社で用意するものと客先で用意して頂くものを記載します。
*当社で用意するもの。
・実験機&セラミックス。
・送風機(ブロワー)
・誘引ダクト(100mmΦ)
・その他機材・消耗品。
*客先で用意して頂くもの。
・実験機積み下ろし&運搬用のフォークリフト、クレーン、及びパレット(分割式実験機
を使用する場合はこれらは不要です)。
・電気(電源)。100V及び200V。差込口の形状を確認。及び延長ケーブル。
・排気口が高所・危険個所にある場合は排気誘引ダクトの設置。
・入場及び通行許可、実験機設置場所の占有許可、可能であれば写真撮影許可。
*臭気サンプル採取に必要な道具は実施者が用意する。
準備が出来たらいよいよ脱臭実験です。
・設備一式の搬入と組み立て。
最初に脱臭実験機一式を設置個所に搬入し、組立て、臭気誘引ダクトを接続します。
・試運転。
一通り組立・接続したら、ブロワーを動かして実験機に通風します。再度各所を点検して
空気の漏れや接続部分のはずれなどの異常が無い事を確認します。その後風速・風量を測定
し確認して実験の準備を整えます。
・脱臭効果を(人間の嗅覚で)確認。
人間の嗅覚で脱臭効果を確認します。(これは正式な測定ではありません)。
脱臭効果が不十分ならば風量等の稼働条件を変更して最適な条件を見つけます。
・実験本番、臭気サンプル採取。
脱臭実験の目的である臭気測定用の臭気サンプルを採取します。測定する方法に合わせた
方法で採取します。
出来れば採取器具を複数用意して入口と出口で同時に採取します。
以後は測定するサンプルの数を確認しながら必要なサンプル数を採取します。別箇所の排気でも実験したい場合は移動後に同じことを繰り返します。
脱臭実験&測定の日程と作業内容についてご説明します。
脱臭実験&測定の日程は通常は2泊3日となります。必要に応じて延長も可能です。ここでは標準的な2泊3日の実験での作業内容をご説明いたします。
*1日目。
・現地到着、ご担当者様との最終打ち合わせ。
実験現場へのご案内、2日目の実験&サンプル採取、等々の段取りについての最終打合
わせ及び確認を行います。
・実験機搬入、組立・設置。
実験機を組立て脱臭実験の準備をします。
・誘引ダクト及び電源の接続。
実験に必要な設備を用意、接続します。
・実験機の試運転と点検。
この段階で最適な脱臭効果を得る事が出来る様に調整する事が理想です。
・セラミックス養生。
翌日のサンプル採取に備えて養生運転(吸収した臭気物質の分解&排出)をする。
*2日目。
・脱臭実験開始。
打ち合わせの手筈に則り実行します。
・臭気サンプル採取。
出来れば午前中に採取して当日中に測定する事が理想です。
・実験機移動。
別箇所でも実験する場合には実験機を移動します。複数個所から排気が排出されている
事はよくある事です。
・セラミックス養生。
翌日の脱臭実験に備える。
・打ち合わせ。
当日の進捗状況の確認、問題の有無、3日目の実験&サンプル採取、についての打ち合
わせと確認を行います。
*3日目。
・脱臭実験再開。
別個所でも排気が排出されている場合や2日目に問題があった時などは2日目と同様に脱
臭実験&サンプル採取をする事もあります。
・臭気サンプル採取。
2日目と同様に臭気サンプル採取。
・打ち合わせ。
実験・測定後の進行について、測定業者からの測定結果の連絡、本採用時の設計条件、
等々について打ち合わせて確認します。
・実験機解体・撤収。
実験終了後は実験機一式を持ち帰ります。
以上で脱臭実験&測定は終了です。
実験内容をレポートにまとめてご提示します。
写真撮影が可能であれば実験時の様子を撮影してレポートに添付できますので、実験の内容についてより理解が深まるでしょう。
測定結果が明らかになればその内容についての見解、本採用時の設備設計や御見積もご提案できます。しかし、測定結果が出るまでにはある程度の時間がかかります(年度末になると1~2か月待ちも珍しくありません)ので、まずレポートをご連絡して、その後に設備設計や御見積のご提案となる事が通例です。
詳細は次項の「最適な設備の設計とご提案」をご覧下さい。
「短期間の脱臭実験ではなくもっと長期の実験を継続して行いたい」というご要望を受ける事もあります。
・中期(1ヶ月~6か月)の実験。
当社製の実験機の貸し出しを致します。使用方法についても一通りご説明いたします。
・長期(6か月~)の実験。
貸出費用が高騰する、実験機を長期間貸し出すと当社が別箇所での実験が出来なくなる、
という理由から専用の実験機を製作して使用する事をお勧めしています。
実験機の内容についての概要をご提案いたします。実験機の制作は当社又は客先のどちら
でも構いません。
最長では3年間実験を続けた例もあります。この事例では十分な脱臭効果と長寿命性能を
確認出来た後に該当事業所内の2か所の排気脱臭対策としてご採用頂きました。
この様に中期~長期の実験をご希望の場合にはご相談下さい。