”脱臭”と一言に申しても、脱臭方式や製品は多数存在します。目的に応じてその中から最適な対策を選択する必要があります。
「脱臭製品なんて臭いが取れれば何でもいい!」とお考えかもしれません。確かにその通りかもしれませんが、費用や寿命等に大きな違いがありますのでこのような安直な考えはお勧めできません。
「十分な脱臭能力」と「低いコスト」を兼ね備えた=費用対効果に優れた最適な脱臭設備を導入する為には事前の十分な調査と検討が必要不可欠!です。
要約すると「面倒事(調査・検討)は後回しにして後になってツケ(多額の費用)を支払うか? それとも面倒事は最初に片づけて費用を節約するか? 」という二者択一です。
古代中国の兵法書”孫子”に「彼を知り己をも知るものは百戦して危うからず、彼を知らずして己を知るものは一勝一敗す、彼を知らず己をも知らざる者は戦うたびに必ず危し」という言葉があります。
脱臭対策に当てはめると「顧客の抱える問題と目的を知り、自社製品の長所と短所も理解する、そうしてこそ確実で最適な脱臭対策のご提案が可能になる」、このように解釈して行動しています。
逆に顧客の側から見ると「複数ある脱臭製品の性能・特徴・長所と短所を知り、自社の抱える問題と目的を再確認する、そうすれば最適な脱臭方式・脱臭製品を選択できて最適な対策を実施できる」という事になります。
初期のお問い合わせから最終的な脱臭設備導入までの流れは「サービスのご案内」ページに記述した通りです。
このページではより具体的に「条件によって脱臭装置・脱臭対策がどのように変化するか?」を順次ご説明していきます。
まずは「詳細チェックシート」をご覧下さい。様々な調査項目が有りますがどれも今後の対策を考慮する上での必要な事柄ばかりですので、出来る限り調査・ご確認頂き、チェックシートにご記入の上で御返信下さい。
*ご注意下さい!
調査項目は「脱臭設備の設計内容を左右する基礎データとなります」ので”正確”な内容を記して下さい。不明点は推定で書かずに空欄のままで結構です。もし、記入の間違いや稼働条件の変更などがありましたら遠慮なく修正を申告して下さい。
現在では遠隔地の相手ともネット等でやり取りが可能です。しかし、現地を訪問して関連設備を一通り視察しないとわからない事もあります。臭気発生源とその周囲、排気ダクト、臭気排出口、排出口から最も近い敷地境界線とその近辺、脱臭設備の設置(予定)場所の広さ、等々・・・。
更には後の脱臭実験の為に、実験機の積み下ろし機器(フォークリフト等)の有無、実験機の運搬通路、実験機設置場所と排気排出口の位置関係と距離、電源の確保、雨天時の対策、等々・・・、を調査します。
現地を訪問し現場を視察する事でより理解が深まります。又、担当者様との会談ではセラミックス製品と過去の取付実例のご説明、セラミックスサンプルの提示、そして簡単な脱臭実験(テーブルテスト)も行います。
調査時に各所の写真撮影をする事もあります。場所によっては機密事項があるかもしれないので事前に写真撮影の許可を得てから撮影します。
担当者様との打ち合わせで最も重要な事、即ち「脱臭装置導入の目的」を確認します。
主な目的としては、
・法(条例)規制値クリアー(行政指導:改善勧告・改善命令! の対策)
・近隣環境対策(臭気苦情対策)
・就労環境改善(労災の発生や再発の防止)
・自主規制(将来的な規制に備える、近隣の苦情を未然に防ぐ)
等々、様々な目的が考えられます。目的を確認する事が臭気対策の第一歩です。
処理前臭気の測定データが有ればご提供いただき、無ければ以後の測定が必要となります。
*測定データが企業秘密に該当する場合!
→ 必要に応じて「機密保持契約」を致します。その後にデータを開示して下さい。
→ とにかくデータは出せない! 門外不出! という場合。
実験と測定の結果から必要な設備を設計する事が可能で過去にも実例が有ります。
あきらめずにご相談ください。
法規制対策ならば規制値クリアー。近隣対策ならば条件によっては規制値よりも更に臭気を低く抑える必要もあります。就労環境改善ならばACGIH(アメリカ産業衛生専門家会議)や日本産業衛生学会の定める許容濃度以下。このように脱臭後の目標値を確認して設定する必要があります。
「適当に」とか、「臭いが取れればいい」という様なあいまいな目標ではなく、「測定方法(条例などにより異なります)」を確認した上ではっきりとした”数値目標”を設定する必要があります。具体的には以下のように設定します。
測定方法 数値目標
例1)臭気指数測定:臭気指数10以下
例2)物質濃度測定:〇〇が×ppm以下、△△が□ppm以下。
この様に規制方法に則り測定方法と臭気の除去目標値を設定してクリアーできる脱臭設備を考慮します。
自治体による臭気規制がある時には規制内容を確認する必要が有ります。
排気の規制値には2種類あります。
1号規制値:敷地境界線規制値。
事業場(=臭気の排出現場)の敷地外における臭気の最大値。大半の場合で
は敷地境界線上での臭気の強さ。
2号規制値:排出口規制値。
=排気口での臭気の強さ。排気口の高さ、断面積、向き、等により変化する。
規制については自治体の環境課等に問い合わせる、自治体のHPで閲覧する、等の方法で規制の有無や規制値について確認できます。
もちろん、どちらか一方だけではなく、両方の規制を遵守しなければなりません。
余談ですが3号規制値も存在します。「3号規制値=排出水の臭気規制値」であり排水を排出する時の臭気になりますので排気とは別の話となります。
稀にですが「人間が臭いを感じないレベルまで脱臭すればそれでよい」と要求される事も有ります。「人間が臭いを感じない≒ほぼ無臭≒最高レベルの脱臭」となります。高い目標(無臭に近い脱臭)を掲げる事は良い事ですが、そのためには高い脱臭能力が必要となります。当然のことながら高い脱臭能力を求めれば対策費用の高騰に繋がります。
まずは実際の規制値などを確認して規制値クリアーを目標とした対策(法規制対策)を考慮・実施して、それでも近隣から苦情が来る時には脱臭能力を強化して無臭に近づける(近隣環境対策)、このような順序での対策をお勧めします。