これまでの計算はなるべく解り易く説明する為に内容を単純化してきましたので、あえて省略して考慮しなかった「計算外の事柄」もあります。
このページではこれらの「計算外の事柄」についてご説明致します。
例外となるそれらの事柄について記載します。但し自然災害の様な不確定要素の大きい事柄については基本的に考慮していません(出来ません)。
「自社のセラミックス製品が有利になる様に都合のいいデータだけを採用して都合の悪いデータは隠していた?」、とお考えかもしれませんが、実際にはその逆です。むしろセラミックスにとっては有利になっても不利にはならない事柄もあります。
日本は自然災害の多い国なので長年使用すると災害に合う可能性が高くなります。幸いな事に何事も無かったとしても経年劣化は不可避です。これらの原因で設備に異常が発生したら当然修理が必要になります。今回の現場では現在までに専門業者に依頼するような大掛かりな修理は稀で、客先で対応・改善できる程度の軽微な修理でしたので修理費用は考慮・計上していません。
セラミックス脱臭装置を設計・製造する時は出来る限り単純な構造となるように心がけています。「送風機や制御盤くらいしか稼働機器が無い → 機械や稼働部品の数が少ない → 故障の可能性も少ない → 修理費用(維持経費)も少ない」と言う事になります。
2006年以降の20年間の稼働中には、あの2011.03.11の大地震もあり、工場近辺でも震度5強~震度6の揺れでした。設備の一部に隙間が出来て排気の一部が漏れ出したので対策をする事がありましたが、この地震が原因か?
単純な構造で電子機器が少ない設備なので故障の可能性も低く、「故障で稼働できなくなった!?」 という事態は発生していません。導入以来20年間無事に稼働を続けてきました。
活性炭脱臭方式に詳しくは有りませんがセラミックス脱臭方式と同様で設備は単純な構造であろうと想定します。それ以外の脱臭方式ではもっと複雑な機構を持ち、設備の取り扱いがデリケートなものもあります。つものもあり、その場合は故障・修理の可能性も高まるでしょう。
今回の事例では20年間の稼働の間にセラミックス脱臭装置の故障・異常による運転停止は有りませんでした。よって修理費用は少額で通常の維持・点検費用の内で対処できたと判断し、修理費は加算していません。
もし計算するなら故障した時に修理・交換するのではなく「〇年使用した後は何も異常が無くても交換する」、という様に考慮すべきでしょう。それでも想定の使用期間内に異常が発生する可能性は排除できませんが・・・。
設備導入後に「脱臭装置を導入したは良いが、肝心の脱臭性能が不足している。このままでは規制値をクリアー出来ない!設備を改修して脱臭能力を強化する必要がある!」という事が起こりえます。
・脱臭設備の問題?
設備の性能が不足していた?という時は設備の追加・改修が必要になるでしょう。
・予算が足りなかったせい?
予算の都合でセラミックスを減らしているという時です。今回の事例でも該当します。
必要時にセラミックスを追加する、設備を改修する、という対策が必要です。
・規制が強化されたせい?
設備導入後に法や条例の規制が厳しくなった。そのような時は規制値をクリアーすべく脱臭装置の
能力を強化・向上させる必要があります。
このように原因は様々ですが後々になり設備の改修や強化が必要になる事もあります。その様な事については想定していません。今回の事例ではこれらの問題は発生していませんので、計算や追加は不要となりました。
「既に脱臭設備を設置していて新しい設備に入れ替える」ような場合には、既存設備の撤去・廃棄
に費用が掛かる事もあります。
今回計算した事例では新築の工場への脱臭設備導入でしたのでこの費用は発生していません。
上記の事柄はセラミックス脱臭装置だけでなく。比較対象となる活性炭脱臭装置でも同様の事が想定されます。しかし、今回の事例だとセラミックス脱臭装置では計算する必要がありませんでした。活性炭でも同様と判断します。
上記の1~3で費用に差が出る事は無いと判断します。
こちらが多大な影響を及ぼす事になります。
セラミックスは導入後の維持費用が少なく初期費用が総費用の大部分を占めます。セラミックスの超寿命により長期使用可能=交換までが非常に長い=実質的に交換不要!?となります。実際に20年交換していません。交換無し=新規購入無し=値上げの影響も無し!
この事例では活性炭を半年に1回交換すると想定していました。初期(2005年のご相談時)には「活性炭の交換は、1回2千万円×2回/年=4千万円/年」というご担当者様の説明でしたが、導入後は定期的に交換(=購入)を必要とします。設備導入から20年の超長期間に渡り全く値上げせずに設備導入当初と同じ価格を維持できるでしょうか?
物価引き上げの主要因として「消費税率引き上げ」が考慮されます。2006年の設備導入当初には税率5%でしたが、その後の2014年:5→8%、2019年:8→10%、この様に2回も増税されて税率が2倍になっています。
その他の要因としては国際情勢の変化もあります。通貨(円)の価格変動、原油・鉱物資源・食料品等の相場の変動、戦争・テロ等の影響、賃金の上昇、が有ります。2022年から続くウクライナ戦争の影響もあり近年は諸物価の上昇が目立ちます。
これ等の影響が日本に及ぶ度に日本中で各種製品やサービスの値上げ(便乗値上げ?)が実施されています。活性炭も同様であり、2023年の時点での販売価格は1トン≒30万円(10トン単位の大口販売の場合)と業者から聞きました。1回の交換で約100トンなので3千万円、それが年2回で6千万円! 17年前は1トン≒20万円だったので約5割も値上がりしています。現在(掲載時点)は2026年なので、その後の3年間でもある程度の値上がりが想定されます。
”値上がり分を考慮”すると、活性炭の交換費用(維持費用・総費用)は前のページの計算よりも高くなっている!
しかし、今回の事例の現場ではセラミックスを導入当初に充填して以来20年間ただの一度も交換していません! 従って交換費用ゼロ! 値上げの影響もゼロ! 「 物価の上昇分≒活性炭の値上がり分だけセラミックスとの価格差が大きくなる」という事は、活性炭が値上がりするとセラミックスの節約効果が増大する!という事になります。
活性炭が採用されていた場合の価格変動を以下のように”推定”します。
2006年:脱臭設備導入。活性炭価格は20万円/トン。
1年当たりの交換費用は4,000万円。
2014年:消費税率5→8%に増税される。
活性炭価格は20万円/トン → 25万円/トン?
1年当たりの交換費用は4,000万円 → 5,000万円/年。
2019年:消費税率8→10%に増税される。
2022年:円安&ウクライナ情勢で物価高騰、活性炭価格25万円 → 30万円/トン?
1年当たりの交換費用は5,000万円 → 6,000万円/年。
2026年:諸物価の高騰が続く。
・海外産ヤシ殻活性炭、2024→25年に1.5~3倍に上昇!
・活性炭輸入CIF価格、2022年に250円/kgを超える、2026年年初に400円/kgに届く!
(2011年は150円/kg、その後は短期的には上下に変動しながらも長期的には右肩上が
りの上昇を続ける。)
赤文字は事実、オレンジ文字は伝聞と推定です。短期的・一時的にはある程度の値下がりは有っても長期的には値上げ! 今後も増々価格は高騰すると考えられます。
2006年と2022年を比較します。
2006年 2022年 増加分
活性炭価格: 20万円/トン → 30万円/トン +10万円/トン
交換費用 : 4,000万円/年 → 6,000万円/年 +2,000万円/年。
価格は+50%↑
相当の値上がりです。仮に、設備導入後は8年毎に、「2014年と2022年」に値上げあり、と仮定して計算します。この様に想定すると活性炭の交換費用は以下のグラフの様になります。
2014年以降の2回の値上げによる支出増(上のグラフの黄色及び赤色部分)は”1.6億円!”
長期使用だとその間の値上げは当然のように起こります。業者も将来の値上げと負担増については説明しない(そもそも予測不可能?なので説明できない?)でしょう。
脱臭設備の導入に当たっては、導入後のランニングコストも考慮する、先の先までよく考える! 事が重要です。さもないと思わぬ出費増を招く事になります。
この値上げ分はこれまでの計算に反映していません。もし活性炭を導入していたらこの値上げ分も経費に加算されて出費が増加していた事でしょう、現実にはセラミックスの超寿命効果で節約出来たわけです。
もちろんセラミックスも値上げが有りますが、今回事例では「セラミックスは20年間無交換連続使用」なので、交換費用(勿論値上げ分も)無し!
セラミックスと活性炭(値上げ分加算後)の総費用を比較して節約効果を計算すると、
20年間の総費用と節約額は、
・セラミックス総費用:1.1億円。
・活 性 炭 総費用:9億円+値上げ分1.6億円=10.6億円。
・節 約 効 果 :1.1 - 10.6 = -9.5億円
この様に計算できました!
活性炭の値上げ分を考慮すると1.6億円も節約効果が増大しました!
使用期間は20年なので、
節約総額 使用期間 1年平均節約額
9.5億円 / 20年 = 4,750万円/年
これだけの節約が実現出来た事になります!
*故障・改修・規制強化について。
設備の故障は主に電機機器(送風機、制御盤)になるでしょうから、異常が発生した機器の修
理・交換で済み、脱臭剤=セラミックスは故障とは無縁なので交換・修理費用の負担は比較的少な
いと考えられます。
改修や強化は事前の調査や実験をしっかりと行えば、性能不足により改修が必要になる事は滅多
に起こりません。
規制の変化については、規制の導入後に強化された事例は稀で多くありません。
**値上げについて。
総費用の大部分を占める脱臭剤(活性炭)の値上げは長期使用を考えると影響が大きくなるの
で決して無視できない要素です。上記の計算だと「20年で1.6億円の上方修正=出費増! 」になる
ので未来の事まで考慮して設備の選択を行うべきでしょう。
***値上げについて、その2。
セラミックスの寿命を短めに考慮するなら、セラミックスの値上げも考慮する必要があります。
脱臭装置の使用前、使用中に「採算が合わない?」、「 出費が多すぎる!」、「節約したい!!」 と思ったら、現状の設備を今後も使用した場合のランニングコストを(値上げも想定して)計算してみましょう。
今後もその支出を続ける事を容認できるか? それとも出来ない? を考えて、「セラミックス脱臭装置に入れ替える」という選択も考慮しましょう!